天気が日本の歴史を変えた?5つの事件とあの日の天気

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「天気で人生が変わった」という経験はありませんか?

雪が降って受験に遅刻した。
雨宿りしたからあの人に出会えた。

天気は個人の人生だけではなく、日本の歴史にも大きな影響を及ぼしてきました。
ここでは、天気が歴史を変えた5つの事件について紹介します。

1.神風のミラクル「元寇」

もぐ先生
もぐ先生

「元寇」は1274年と1281年の2回にわたって起きた事件だね。

史上最強といわれるモンゴル帝国の元が、日本の九州に攻めてきたよ。

「やあやあ、我こそは」と名乗りをあげてから、一騎打ちで戦う日本。
対する元は一気に相手を囲み、火薬や毒矢などで攻撃する集団戦法。
攻撃力では全くかなうはずもなかった日本の窮地を救ったのは、台風による暴風雨でした。

特に2回目の「弘安の役」では、約4000の元軍の船が暴風雨で壊滅しました。
日本の窮地を救ったこの暴風雨が「神風」の由来となっています。

2.ゲリラ豪雨の運「桶狭間の戦い」

ふくろ先生
ふくろ先生

「桶狭間の戦い」は1560年に起きた事件だね。

尾張の織田信長が、駿河・遠江・三河を支配する今川義元を破ったよ。

「好きな戦国武将」の調査では、常に上位にランクインしている織田信長。
その信長が全国に名をとどろかせるきっかけになったのが、「桶狭間の戦い」です。

ちょっと戦力を見てみましょう。

指 揮 官織田 信長今川 義元
戦 力約3,000人約25,000人
※出典:豊明市HP内「桶狭間古戦場伝説地」


その差はなんと、8倍強。
この圧倒的な劣勢を信長がたった2時間で覆したことで、戦国の勢力地図は大きく塗り替わりました。

短期決戦での勝因の1つに、ゲリラ豪雨があったといわれています。
雷を避けるためか武器を手放した今川軍は、油断と混乱で総崩れになりました。

鮮烈な信長の全国デビューでした。

3.天下分け目の濃霧「関ヶ原の戦い」

もぐ先生
もぐ先生

「関ケ原の戦い」は1600年に起こった事件だね。

東軍の徳川家康と西軍の毛利輝元を総大将に、全国の大名が2つに分かれて戦ったよ。

この日は放射冷却(※)の影響で、朝から濃霧が発生していました。
その影響で、夜明け前から布陣していた両陣も朝8時過ぎまで動けなかったようです。
 
合戦のきっかけは、東軍の伊井直正。
たった50騎で、約1万7,000人の宇喜多秀家隊に攻め入りました。

直正曰く
「家康の4男である松平忠吉に戦を知ってもらうため、物見に来た」

この無謀ともいえる突入、実は本当に物見だけのつもりが、濃い霧の中で「たまたま敵にであってしまった」という説もあります。

それでも家康は、自分の子が口火を切って活躍したことに大満足だったとか。

4.季節外れの雪と幕府の衰退「桜田門外の変」

ふくろ先生
ふくろ先生

「桜田門外の変」は1860年に起きた事件だね。

将軍の補佐をしていた江戸幕府大老の井伊直弼が暗殺されたよ。

事件が起きたのは、今の暦でいう3月24日。
江戸はまさに季節外れの大雪で、積雪は5cm以上。数m先も見えないぐらいの悪天候でした。

視界の悪さに加え、井伊家は厳重な防寒対策。
刀には雪を防ぐための革袋。
こうしたことが重なって、切り込んできた水戸浪士への対応が遅れたといいます。

井伊直弼の死をきっかけに江戸幕府は衰退し、明治維新への道を歩み始めました。

5.快晴が生んだ戦略と名文「日本海海戦」

もぐ先生
もぐ先生

「日本海海戦」は1905年に起きた事件だね。

東郷平八郎が率いる連合艦隊が、対馬沖でロシアのバルチック艦隊を破ったよ。

日本の連合艦隊は4隻。
対するバルチック艦隊は8隻。
日本海海戦は1隻の取り逃がしが日本の滅亡につながる、絶対に負けられない戦いでした。

緻密な戦略が練られる中、勝利への大きなカギを握ったのが当日の天気です。
出撃命令の電報に添えられた一文がこちら。

「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」

つまり、視界良好で砲撃しやすい。敵を発見しやすい。見落としにくい。
快晴は、日本海軍が有利となる気象条件でした。

ただ晴れているだけじゃない。勝てる。勝て。
仲間の士気をあげ、日本の勝利を促したこの言葉は、名文として語り継がれています。

雨が降りそうな空

以上、天気が日本の歴史を変えた5つの事件について紹介しました。
天気が歴史を変えた事例は、他にも数えきれないぐらいあります。
あなたの人生の大事な1日にも、実は天気が関係しているのかもしれません。

※天気予報でいう放射冷却とは、主に地面が冷えるために地面の近くの空気が冷やされ、気温が下がることを指す(気象庁参照)

~【おまけ】天気と歴史にまつわるおすすめの本3選~

本を読む子どものシルエット

あなたもおススメの1冊があれば、ぜひ教えてくださいね。

①『蒙古襲来と神風』

●著者:服部英雄(2017年 中公新書)
●「神風」は果たして真実か。史実に鋭く迫る論考。

②『桶狭間は晴れ、のち豪雨でしょう』

●著者:松嶋憲昭(2011年 メディアファクトリー新書)
●気象予報士が天気から歴史的事件をひもとく1冊。ありそうでなかった切り口に注目。

③『気候で読み解く人物列伝』

●著者:田家康(2021年 日経BP日本経済新聞出版本部)
●天候が偉人の人生を変えた。桓武天皇から井伊直弼まで幅広く扱う「あの日の天気」。


次回は「世界編」です。

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